建設工事受注動態統計 二重計上問題。    統計の信頼、またも。

(長文、失礼) 2年前の今頃、毎月勤労統計の不正問題が発覚、年明けから野党合同ヒアリングを重ね、厚労委員会と予算委員会集中審議に立ちました。それから2年、またも起こった基幹統計の偽装問題、今度は国交委員として建設の統計と向き合うことになりました。なんの因果か、、、。 15日、朝日新聞のスクープをうけ、予算委員会、総務委員会でも各党からとりあげられました。総理も国交大臣も事実を認め、大変遺憾として、総理は専門家による第三者委員会を立ち上げ、ひと月で検証結果を出す、と答えました。そんな簡単なもんではありません! 昨日は国交省から、今日は会計検査院からレク。私なりに問題を整理してみました。

1. 建設工事受注動態統計とは。 建設工事の着工額を毎月都道府県ごとに集計し、状況を把握。全国47万社ある建設業者のうち、12000社から毎月報告をもらっている。他に大手50社の報告、ということで甲乙調査、2種類ある。 GDPの材料であるとともに、月例経済報告、中小企業保証制度の評価にも使われている。

2. 何が問題? 毎月の調査の締め切りに間に合わない業者がいた場合、ゼロ、と数えず、推計値を書き込んでいた。実際の報告が2ヶ月後に出てきた場合、その分を足しあげて、計上していた。2ヶ月後に実数(推計値より+-あるが)を出しても推計値はそのまま残るので、二重計上になる。 →数字が過大になる。 →月々の変化をみるものなのに、全く違う状況になる。 →統計全体の約1割で二重計上になっている模様。

3. なぜ発覚? 毎月勤労統計の改ざん問題うけ、2019年11月に参議院決算委員会が会計検査院に全基幹統計と一般統計の調査を命じた。会計検査院はこれをうけ、11都道府県からヒアリング、今年1月頃から本省からヒアリングを行って、今年9月1日付で報告書を提出した。 報告書は、二重計上については触れていないが、過去分の数字をまとめて足していたということで、「精度が低い」という評価を下した。

4. 国交省の説明。 2013年からやられていた、というのはこの年統計手法の見直しをしたから。問題だという意識はなかったのでは。現場で引き継がれてきた。8月に検査院から報告うけ、大臣秘書官には伝えた。 ☆一斉点検のときは、乙調査の桁間違いだけを報告し、今回の甲調査については報告しなかった。なぜか? ☆二重計上を、悪いことだと思っていなかった?ありえません!仮に本気でそう思っていたとしたら深刻だし、洗脳か、忖度か?実はアベノミクス礼賛の時代に言えなかった?

5. 検査院の説明 都道府県にとっては「法定受託義務」なので、国交省の指示通りやるだけ。統計法により調査票本体は都道府県に保管もコピーもできない。検査院といえども、調査票を見ることができない。ならばなぜ?わかったのか? 〜〜国交省の都道府県担当者への説明会議で、「報告のない月あれば、その分をあとで足しあげる」ということを説明していたポンチ絵をみて、「足したらダメだろ?」と気づいたのがきっかけ! ☆精度が低い、という表現では事の重大性が伝わらず、報告書が注目されなかったのもそのためでは? 〜〜検査院は予算の執行状況の適切かどうかをみる任務なので、不正とか違法かを調べる権限はなく、不適切の度合いがどの程度かを正確にはかることができないので、「精度が低い」という表現にならざるを得ず、そういう意味ではできる最大限の警告だったとわかりました!

6. 統計の価値が壊されていく 毎勤統計のときも感じたことですが、統計とは政策判断の大事な根拠であり、「民主主義の基礎」(今日の予算委員会で小池書記局長が指摘したのに対して総理も認めた)なのに、軽微なものから改ざんなど、根幹を揺るがす問題が続いている。すでに過去の改ざんされた統計を正確に復元できないところが深刻なところ。調査票は残っていないし、あっても鉛筆で書いたものを消しゴムで消した調査票だから。都道府県はコピーが許されていないために国に送ったらそれきり、残らないから。しかし毎勤統計の時は厚労省の地下倉庫から出てきたわけだし、究明は必要だ。 ここまでひどいのは、そもそも、政府が統計そのものを軽視し、自らの都合の良い統計だけを集めるようになってきたからだ。

 ★★国交省が2年前、総務省の統計委員会に報告した中に、統計に携わる職員は「0.5人」という数字があります。大量の統計調査に対して割ると1がたたないほど、少人数でやっているという意味です。しかも、経験年数が全員、2年未満!統計のなんたるかを理解してやっているとは到底思えません。 臨時国会終わっても、あいまいにはできない。引き続き、全容解明と再発防止のため、全力をあげます。

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